東日本大震災では、多くの被災者を生み、長期の避難生活を余儀なくされました。
家に住めなくなってしまった時の避難生活をどうするか。改めて突きつけられた切実な課題です。
京都市では、阪神・淡路大震災以降、自主防災組織の充実強化を図り、市民の皆様とともに消火・救出・救護などの災害対応力の強化を図ってきました。
避難所については、順次指定対象を広げ、防災行政無線の整備などに努めるとともに、運営体制の更なる強化・整備にも取り組んできました。現在400か所以上を指定しています。
平成24年7月から、市民や学識経験者にご参加いただいた検討委員会を立ち上げ、4か月にわたる熱心な議論を経て、実践的な避難所運営体制構築のためのマニュアル、「京都市避難所運営マニュアル」が完成しました。
添付ファイル
このマニュアルの特徴は、東日本大震災をはじめとするこれまでの他都市における災害の教訓をもとに、災害初期の混乱の中で公的支援がなくとも市民が自主的に避難所を立ち上げることができること、行政と市民がそれぞれの役割分担を果たして、長期的視点を持って要配慮者にやさしく、震災関連死を出さない運営を行うことなど実践的観点から運営手順を定めていることです。
基本方針1 避難所は、住民の自治による開設・運営を目指します。 |
基本方針2 避難所は、被災者が暮らす場所と考え、自立支援、コミュニティ支援の場として取り組みます。 |
基本方針3 要配慮者にも優しい避難所づくり、男女共同参画の視点に配慮した避難所づくりに取り組みます。 |
このマニュアルをひな形として、各地域の実情に応じた避難所ごとのマニュアルづくりを進めていただきました。ほぼ全ての避難所において、マニュアルの策定が完了しています。
避難所の運営には地域のコミュニティ力と防災力が如実に表れます。
引き続き、市民の皆様とともに、避難所運営訓練の実施と、訓練結果を踏まえたマニュアルの見直しに取り組み、全ての避難者にやさしい避難所運営に努めていきたいと考えています。ご理解とご協力をよろしくお願いします。
避難所における新型コロナウイルス感染症対策を図るため、令和2年5月に、京都市避難所運営マニュアルの別冊として、「新型コロナウイルス感染症対策編」を策定し、令和5年5月に感染法上の位置付けが変更されたことにより、新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられたことを踏まえ、当マニュアルの名称を「感染症対策編」に変更しています。(令和6年7月改訂)
避難所において、避難者を受け入れる際に準備すべきことや注意すべきこと、避難所の運営に当たって注意すべきことなどを記載しています。
避難者の方には、避難所内でのマスクの着用を推奨しています(新型コロナウイルス等の感染症発症後、10日間を経過するまでの方は着用必須)。また、受付での体温計測や体調調査票の記載など、避難所での感染拡大防止のため、皆様のご協力をお願いします。
京都市避難所運営マニュアル【別冊】感染症対策編
避難所における新型コロナウイルス感染症対策の一つとして、令和2年8月、ホテルの空き部屋を短期間の避難場所として活用する仕組みを構築しました。
台風や大雨など比較的短期間の災害から逃れるための避難場所が「3密」状態となることを防ぐため、ホテルの空き部屋を追加の避難場所として活用します。
ホテルでの宿泊及びタクシーの利用については、本市が費用を負担しますので、避難者は無償で利用できます。ただし、ホテル滞在中の食事や電話代等は自己負担となります。
【ホテル活用の流れ】
協定締結の同意を得られたホテル
避難所における熱中症等への対策や寒さ対策を一層推進するため、令和4年12月に京都市避難所運営マニュアルの別冊として、「空調設備のある部屋等の活用編」を策定しました。
学校施設の指定避難所等開設時には、原則、ふれあいサロン等の空調設備のある部屋を活用することなどを記載しています。
京都市避難所運営マニュアル 【別冊】空調設備のある部屋等の活用編
近年、ペットを「家族の一員」として大切に飼育されている御家庭が増えていますが、東日本大震災をはじめとする被災の経験から、災害時のペットの救護対策や飼い主の普段からの備えの重要性が認識されるようになりました。
大規模災害時に、地域における生活や情報の拠点となる避難所では、地域の特性や実情に応じてあらかじめ定めた避難所ごとのペットの受入方針やルールに基づき、ペットを管理していくことが求められます。
京都市では、避難所を運営される方向けに、ペットの受入方針やルールを検討していくための手法等をまとめた手引書「ペットの避難どうしよう?」を作成しています。この手引書を参考に、各避難所において、ペットの受入れについて御検討いただき、平常時のみならず、災害時においても、人と動物が共生できるまちづくりを進めていただきますようお願いします。
また、飼い主の皆様は、ペットと一緒に避難所に避難(同行避難)できるよう、日頃からのしつけや必要な物資の備蓄などを行い、いざというときに備えましょう。
東日本大震災発生後、防災への関心が一層高まり、防災拠点の機能強化が求められる現在、災害発生時に地域住民等の緊急避難施設として活用されるなど、学校のみならず地域にとっても重要な役割を果たす学校体育館について、耐震性の向上や避難施設としての機能強化に向け、外断熱や蓄電池付太陽光発電設備、雨水タンク等を備えた「環境にも配慮した防災機能強化型学校体育館」として、毎年度4~5校程度の全面改修(リニューアル)を推進しています。